行けなかった山、行かなかった山頂 北岳

リトルサウス

2012年07月22日 19:53

2012/07/13-14 北岳

去年の秋、直前まで準備をしていながら仕事の都合で行けなかった北岳。3連休に遠出の山行きに行きたいと思った時、やはり行くならここしかないだろうと思った。

九州を中心に天候の不安定さを伝える予報に躊躇したが、他のブロガーさん達の写真にある、稜線から望む富士山を、そこを自分も歩きたいという思いが後押しして稜線を目指した。



■ 準備編
北岳に行く時は(広河原~)北岳~間ノ岳~西農鳥岳~農鳥岳(~奈良田)を縦走しようと決めていた。広河原には奈良田からバスを使う必要があってバスの時間に引っ張られることを考えるとバスは広河原からの帰りに使用し、早朝奈良田側から入って農鳥小屋でテント泊、翌朝間ノ岳~北岳で広河原下山が理想かと思って考えていた。その場合、自分の脚だと出発時刻は3時か4時くらいになるだろう。一方、家から奈良田までは片道6~7時間程度を覚悟しておく必要がありそうなので金曜仕事を終えて当日移動となると運転し通しの不眠状態での行動とならざるを得ないことから、今回は早朝奈良田から入るのは諦めることにした(奈良田側からだと広河原側からに比べて標高差が500m分多いのも理由のひとつ)。とは言っても奈良田からの朝一番のバスは5:30で、睡眠不足が心配なのにはあまり違いないが、、、。沢に橋が架かって大樺沢からのルートが歩行できるようになったという情報があり、アイゼン必須とのことなのでちょっと心配だったが大樺沢から八本歯ノコルを経て北岳ピストンで北岳山荘にテント泊、2日目は間ノ岳~西農鳥岳~農鳥岳~奈良田の計画でいくこととした。


■ 移動編
13日、仕事を終えて家に帰り、いろいろ準備で21時頃家を出る。ルートはナビ任せで中国・名神・中央道・中部横断道だったが、あとからネットで検索してみると今なら中国・名神・新名神・東名阪・伊勢湾岸・東名・新東名の方が早そう、、、

途中時折雨の天気となり、去年の 槍ヶ岳 の時の再現のようだ。途中眠気がつらくなり恵那峡あたりのSAで仮眠する。20分ほどして目が覚め先に進む。4時頃奈良田の駐車場に到着する。第一駐車場が満車だったので先の第2駐車場に向かう。奈良田から登り始めるなら奈良田第一発電所により近い第2駐車場の方がよいだろう。天気は雨だ。

少しでも疲れを取りたいので仮眠しかかると隣に来た車がエンジンを切らず15秒くらいおきにラジエータファンかなにかの音がしては消えるの繰り返しで眠れない。深夜だし、仮眠している人も多いので駐車場に着いたらエンジン切るのは常識だろう(勘弁して欲しい)、、、結局明るくなってほぼ寝れず。

外は雨具を着ようか迷う程度の雨、5時頃からバス待ちの列が、、。少しでも体を休めたいのと連休初日などで乗客が多い日は増便されるだろうと思って車内で出来るだけ体を休め、ほぼ最後尾で並ぶ。



バスは3台やってきた。環境保護の目的もあってのマイカー規制なのだろうが、とても環境に優しくなさそうな古いバスだ。

奈良田第一駐車場で乗客を乗せたであろうバスは結構な乗車率で結局5:30のバスには乗ることが出来なかった。

これは想定外だったが、乗り合いタクシーが居て人数が集まれば時間に関係なく走ってくれるという情報があったように思っていたこともあり割と楽観視していたが、それらしい車は辺りに見えず次のバスを待つしかないことが見えてきて出だしでつまづく、、、。

この日の次のバスは8:30発だったがバス会社の関係者が5:30に出たバスが折り返してきて乗れなかった人たちを乗せるという。

7:20頃折り返しのバスで広河原に向かう。

最初に乗れなかった人も相当数いるので車内は満車に近く、荷物は膝に置いてくれと言われるが、古い路線バスの椅子は窮屈な上に運転手がとても荒い運転で、激しく振られるザックを支え、ザックと椅子に圧迫されないように支え続けて酷い車酔いになる。広河原到着がもう少し後だったらだめだったかもしれない。

バスを下りて、歩けるくらいの気分になるまで少し休む。


■ 山歩き 7/14


8:20 写真の建物2階の警察の出張所(?)で登山届けを出して登山道に向かう。


雨は止んで曇っているが、時折雲間から日が射すと強烈に暑さを感じる。北岳方面はガスに覆われている。


他の人のブログで何度も見た吊り橋。思っていたよりも長かった。橋を渡るとすぐに広河原山荘。テン場もあり、何張りか設営しているひともいるようだ。ここへは寄らず先に進む。

山歩きの始まり。前にも後ろにも人が高密度で居て自分のペースで歩きづらい。


N35°41'37.86" E138°15'51.43"
広河原小屋から20分ほどで大樺沢方面と白根御池小屋方面の分岐に出る。今回は大樺沢方面なので左斜め方向に進む。


N35°41'31.33" E138°15'43.13"
大樺沢方面を歩き始めてしばらく行った辺り。個人的には水際の登山道は好きだが、沢近くに付けられた登山道や増水時に流されてきたであろう木々などから、大樺沢は増水時には通行できなくなるというのも納得だ。


N35°41'24.36" E138°15'38.84"
沢沿いの歩きはこの辺りまで。登山道は沢を左に渡って沢を少し高巻くように進む。


豊かな水の流れがもたらすのだろう、倒木や石についた美しい苔を見ることが出来る。


N35°41'02.29" E138°15'21.82"
登山道はもう一度沢を渡って写真右側を進む。上流方向に雪渓が見えた。この水もあそこから来たのだろうか。


N35°40'55.46" E138°15'18.38"
10:20頃、雪渓の下端に到着。真ん中の方は空洞になっているようだ。

ここでアイゼン装着。今回のために買った訳ではないが10本爪。これしかもってないので仕方ないが周りは見た感じ6本爪までのようなのでちょっと恥ずかしい、、、。


雪渓の上を抜ける風は冷たい。雪は硬くしまっていてキックステップも容易ではないのでアイゼンがあると安心感がある。山の上の方はガスに覆われている。


N35°40'45.53" E138°15'04.14"
11:00 大樺沢二俣到着。脚が上がらず重い。さらに昨晩からの移動疲れとほとんど眠れてないことに加えて車酔いを引きずっていて気分が悪い。写真右は大樺沢二俣からさらに雪渓を登っていく人たち。

始発のバスに乗っていれば9時過ぎにはここに居たであろうから別の判断もあったと思うが、今の時間、体調、崩れそうな天候、予定していたコースの参考時間など考えるこのまま雪渓を登るのはやめた方がいいと判断、右股コースで肩の小屋に向かうことにした。11:25 大樺沢二俣を右股方面に出発。

まずは白根御池小屋からの草すべりコースとの合流地点を目標に登る。ちなみに大樺沢二俣と白根御池小屋はほぼ標高が同じで合流地点までの距離も同じくらいなのでどちらで登っても大差なさそうだ。

脚が上がらず重いので、少し歩いては止まりの繰り返しでペース上がらず。座って休憩するとウトウト眠ってしまいそうになる。本当に眠い。


N35°41'02.80" E138°14'37.39"
13:30 草すべりコースとの合流地点に到着。


N35°41'05.29" E138°14'32.83"
13:55 小太郎尾根分岐到着。稜線に出た。ガスで眺望なし。


上の写真と同じく小太郎尾根分岐の道標。

稜線に出てからガスに加えて風が出てきて小雨も降ってきた。視界が利かないので先が見えず遠く感じる。登山道はここまでになかった岩場を登るような箇所も出てきたが、特筆するような危険箇所はないと感じた(私見ですが、、、)。

14:40 ガスの中歩き続けるとテントが見えた。今日のゴールが見えた(ゴールにしてしまっている、、、)瞬間だ。でも「肩の小屋 2分」の看板、、、その辺から聞こえてくる話し声から、どうやら上のテン場はもう張るところがないらしい。一人用テントにちょうどいい形の場所があったのでここに荷物をデポして肩の小屋に向かう。

2日で縦走するためには今日の野営地を北岳山荘のテン場にしておく必要があると思っていて、今日のゴールを肩の小屋のテン場にしたことで、この時点で縦走は諦めた。


N35°40'49.78" E138°14'16.18"
肩の小屋でテン場の手続きをしてテント設営。結構風がある。一人なので今回のテントも Terra Nova Laser Photon Elite だが、いっぱいある張り綱の張り具合で建ってるテントなのでうまいこと建てるのが面倒くさい。やっぱり山ではポール通すだけで誰が建ててもちゃんと建つテントがいいかな・・と思った。

テントに荷物を入れたらやれやれ一段落だ。落ち着いたのでもう一度肩の小屋に行ってみる。


肩の小屋は大勢の人で賑わっていた。ガスでなにも見えないのが残念だが、皆それぞれの達成感なども手伝ってのことだろう、笑顔であふれていた。


北岳は肩の小屋の脇を通ってこの先を進むようだがこのガスで眺望は無理だろう。今日は登頂しないことを決める。


小屋の下もテン場が。実はこの後一晩中野営地は強風に見舞われる。やはり稜線に張るのは止めとけばよかった、、、。しかしよくよく考えるとここも小屋の縁に積んである石が落ちてきたらただでは済まないだろう。一晩安心して過ごせる場所を確保するのも到着が遅いと難しいか、、、何事も早め早めの行動が大事だなと痛感。

肩の小屋で水1L購入。さい銭箱方式で1Lにつき100円を設置されている箱に入れる。

車酔いが酷くて軽い行動食くらいしか食べられずにここまで来たが、到着した安堵感からかお腹が減った。とにかく眠いこともあってテントに戻って昼用に持ってきたおにぎりなど、調理しないで食べれるものを食べて寝た。マットはサーマレストのクローズドセルマットのスモールサイズで、足下に荷物を開けたザックを置いてこの中にシュラフを入れて風上方向を足にして寝た。

4時間ほど寝ただろうか、目が覚めるとテントが破れないか心配なほどの風になっていた。幸い風上には特に大きな石を選んでアンカーにしていたので、テントが飛ばされることはないだろうと思ったが、激しくバタつくテントが心配(以前 You Tube で見た強風で飛ばされるテント動画が思い浮かぶ)、、、ちらっと外を覗いたが星は全く見えず。

寝たせいか酷かった車酔いが解消した。去年の槍ヶ岳の時のことがあるので来る前は高山病が心配だったが今回は大丈夫なようだ。でも脚の重さはそんな簡単に変わりはしない、、、。


■ 山歩き 7/15

夜中に2度ほど目が覚めるが暴風とガスは変わらなかった。


5:30 外はガスだらけ、しかも凄い風。こんな時に登頂しても苦行なだけで眺望も望めなさそうなので北岳登頂も止めておく。とにかく荷物を減らしたいので重そうなものを食べて減らしたいが食べたのは缶詰、味噌汁、カップヌードルリフィルそれぞれ1個・・とあまり変わらず。アルファ米を炊いてレトルトのどんぶりを食べようかとも思ったが面倒なので止めた。


下山直前の設営地付近(パノラマ)。


せっかくなので1枚くらい自分撮りを、、、。

天候のいいときにまた来よう。山バッチも本当に登頂したその時だ。
8:00 そんなことを思って下山開始。帰りは草すべりコースで白根御池小屋経由で下山してみる。


9:15 白根御池小屋が見えてきた。


白根御池まで下りてきて草すべり方向。レンズが曇っているのでフォギーな写りになっているが今も山は厚いガスに覆われていた。


白根御池小屋前180°パノラマ。

10:00 白根御池小屋を出て下山。

11:35 大樺沢と白根御池の分岐に到着。

12:00 下山

奈良田行きのバス時刻は、、、


なんと次は 14:00 、、、

でも広河原には乗り合いタクシーが沢山居たので当たってみると、奈良田に行くのはひとつもなく芦安というところばかりだった。バスも芦安行きは便が沢山あって広河原をIN/OUTにする山行きなら芦安以外考えられないなぁと思う。

山歩きをしている間は時間に追われるような気持ちでいることが多いが、バスの時刻までははてしなく長い時間のように感じた。

定刻になりバス発車。疲れのせいか来るときの1/3くらいの速度に感じる。安全運転でなによりだ。しばらく寝落ちの後奈良田第2駐車場着。

駐車場は静かだがこの季節なりに暑い。稜線はあんなに風があって寒かったのに、昨日雪渓の風はあんなに冷たかったのに・・・なんだか夢を見てたように思えてくる。

今回の山行きではピークも踏まず縦走もせずだったが、特にがっかりとかいう気持ちにはならなかった。自分の体調、天候、到達時刻など、置かれた条件の中では正しい選択だったのではないかと思う。

また来よう、近いうちに。


■ 今回の地図


赤い線はトラックログ



■ あとがき、、、というか
1, 単独での金曜晩移動そのまま山行きは疲労や寝不足で無理だと思った。今後の山行きの行程は考え直そう。

2, 普通の登山道歩きでほとんどGPSロガーと化してしまっているが、今回 GARMIN Etrex 30(英語版) のファーム 2.80 が 6/7 付けで密かにリリースされているのを発見してアップデートしての初めての歩きだったが、なるほどリリースノート通りの挙動が確認できた(検索エンジンで etrex 2.80 などで検索すればファームウェアのダウンロードページが引っかかる)。

3, 家を出るときの計測で、単独のテント泊1泊山行きで贅沢品込みとはいえ荷物のトータルが19キロ近くもあった。水、アイゼン、ストックなども込みとはいえこの時期でこんなにもあるのは重すぎると思う・・・見直そう、荷物が軽いともっと楽に歩ける筈だから。



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